背番号6、最後の青春
その様子を見てクスッと笑うと、菜乃ちゃんは首を傾げてお茶を差し出してくる。
それに対して今度は俺が首を傾げると、菜乃ちゃんはニコリと笑う。
「喉乾いたんですか?お茶、いりますか?」
なんて聞いてくるものだから、思わずまたクスッと笑った。
「自分のあるから、大丈夫だよ」
証拠にとお茶を取り出そうとして、カサっとビニル袋が手に触れた。
ユニフォームの入ったビニル袋だ。弘也の思いも乗せた大切な6番のユニフォーム。
…弘也は、本当に俺が6番を背負って試合してるところなんて見たかったのだろうか。
いや、弘也のことだから見たいと言うだろうな。俺も、弘也が活躍するところは見たかったし。
親友だから、活躍しているところをしっかり見て応援をしたかった。
「…真矢先輩?どうかしましたか?」
菜乃ちゃんの声にハッとする。
その声に、なんでもないよと首を振る。