背番号6、最後の青春
応援する方法、試合を見る方法、そうか、その方法があったんだ。
陽の方を見ると、陽が自慢げな笑顔でピースをしていた。
「ビデオ通話ですよ。そしたら、弘也先輩が試合を見ることができるでしょう?」
胸を張ってそう言う陽の頭に手をおいて、髪をくしゃくしゃとしてやる。
「さすが陽!」
思い切り褒めてやると、陽は誇らしげに携帯を俺に手渡してきた。
弘也の真剣な目が、俺をジッと捉える。
「声は届かねえだろうが、応援してるからな」
ニッと笑いながらそう言った弘也に、俺も同じように笑ってみせる。
「分かってるよ。俺は、その応援に精一杯応えるからな」
俺がそう言うと、弘也は当たり前だと言ってまたケラケラと笑った。
「真矢、そろそろベンチに移動するぞ!」
陸空先輩の言葉に、「今行きます!」とだけ返事をしてまた弘也を見た。
ジッと俺を見据える目。何も言わないまま、俺を見つめる。
それだけで良かった。
その視線を背に、俺は陸空先輩の方へと歩き出す。
振り返ると、陽が外カメラにしたらしくグランドが写るように構えていた。