背番号6、最後の青春



思い切って出したパスだったが、相手のボランチにカットされてしまった。

…速い、パスが逆サイドに渡る。慌てて下がり守りに入る。

外に出して、相手のスローインをなんとかカットしたサイドバックが、前へと飛ばした。

そのボールを、サイドハーフが受け取り前へ前へと進んでいく。

息が乱れるのを感じながら、ただただ走り続けていて、何分経ったのか分からない。

何度か回ってきたボールも、数回はパスが通ったが、ほとんどがカットされてしまう。

さすが、強豪校と言われるだけあって、いつも練習試合しているところよりもずっと強い。

けれど、なんとかであってもそのチームに追いつけているのは事実だ。

言い聞かせるように、走れ走れとただひたすらに足を動かす。

ボールを、ゴールまで、運ぶために。

前半、試合のほとんどが俺らの陣地を中心として行われていた。

ハッキリ言ってピンチ。

だけどくじけずに前だけを見て俺らは、パスを回して走り続けた。

< 249 / 283 >

この作品をシェア

pagetop