背番号6、最後の青春



無失点で、無得点でもいいからなんとかPKに持ち越せたらと思っていた。

点を取られては取り返すのが難しいから無失点でいきたいと思っていた。

なのに、まさか点を入られてしまうとは。気持ちが沈んでいく。

けれど、

「切り替えてー!」

陸空先輩の声にハッとした。

そうだ、まだ取り返せないと決まったわけではないんだから。

切り替えて、今度はこちらが攻める番だ。

真ん中からスタートしたボールが、前へ前へと進んでいく。

一度こちらにきたボールを、フォワードの人の方にパスした。

なんとか裏を狙えたらしく、チャンスが回ってきてくれた。

しかし、打ったシュートはゴールのギリギリ外を通っていき点は入らなかった。

…今のパスは少しキツかったかもしれない。

もう少し相手が受けやすくシュートしやすいパスを出さないと、せっかくのチャンスが無駄になってしまう。

冷静になれと自分に言い聞かせ、頭を懸命にはたらかせる。

< 251 / 283 >

この作品をシェア

pagetop