背番号6、最後の青春
そうしてなんとか再び回ってきたチャンス、入れれば同点に持ち越せる。
フォワードの奴がゴールめがけてシュートをうつ。
そのボールはしっかりゴールの枠を捉えて中に吸い込まれるようにして入っていく。
しかし、
「ナイスキー!」
少々真ん中よりだったため、相手のキーパーに止められてしまった。
こちらの陣地へと返ってくるボールを、また必死に相手の陣地へ押し込んだけれど、もう随分と時間が経っていたらしい。
チャンスが回ってくる前に、試合終了のホイッスルがグランドいっぱいに鳴り響いた。
走るのをピタリとやめてしまった体が、そのホイッスルの音の重みに押しつぶされそうになる。
…負けた…?弘也に、勝利をプレゼントしてやりたかったのに、負けた…?
分かってる。誰かを思った試合に勝てるのは漫画の世界だけだと。
俺らが必死になって練習した分だけ、彼らも必死になって練習しているんだから。