背番号6、最後の青春
2.
夏の試合のあの日から、5日くらい経っただろうか。
「まだ落ち込んでんのかよ」
弘也に声をかけられて、別にと首を横に振る。
「そんなことねえよ。ただ、もう、終わっちまったのかと思って」
病室の窓から空を見上げると、夏らしい白くて大きな雲が、うようよと空を泳いでいた。
それは本当に自由で、どこまでも遠くに行ってしまえて、ほんと、弘也と変わってくれたならなんて思う。
病気という名の重りのせいで、病室という名の牢屋に閉じ込められてしまった弘也。
言い方は悪いけど、自由じゃないことに変わりはないだろう。
夏休み、授業はないが部活はある。午前か午後のどちらかだが。
今日は午前からで、とりあえずもう今日の部活は終わってしまった。
まあ、夜からバイトがあるのだが。