背番号6、最後の青春
Epilogue
***
あれから、1ヶ月ほど経っただろうか。
みんなみんな弘也の死を消化して、前を向いて進み始めている。
「今日は公式戦で負けたとことだよ〜」
「うわ、マジかよ」
ユニフォームに着替えながら話しかけてくる俊太を適当にあしらう。
それから、身につけたユニフォームを見て、弘也のことを思い浮かべた。
1ヶ月、ずっと感じてきた違和感。
今日、俺を応援してくれるあいつはいない。
俺は相当弘也のことが大好きだったらしい。何かしら弘也が思い浮かぶ。
当然のごとくぽっかりと空いてしまった心の隙間。
「あ、真矢先輩、タブレットあげます、レモン味」
外に出ると菜乃ちゃんがレモン味らしいタブレットをくれた。
お礼言って、それを水筒と一緒にベンチの方に持っていく。
弘也がいなくなって、しばらくふさぎ込んでいた俺を立たせてくれたのは菜乃ちゃんだった。
何か説得したわけじゃない。ただ、側にいてくれた。