背番号6、最後の青春
「弘也、今日は大活躍だったな。今回は完敗だな」
ふと呟くと、弘也はニヤニヤしながら俺の顔をのぞき込んでくる。
「今回“も”、だろ?それから身長“も”、だろ?」
余計なことを言う弘也の尻に、思い切り蹴りをいれてやる。
…たった5㎝高いだけで調子乗りやがって。
ムスッとしながら痛がる弘也を放って数メートル歩いて、不意に振り返った。
「でも、次は絶対負けないからな」
冬の寒さに凍りつきかけたグランドの土を踏みつける。
ニッと笑ってそう言うと、弘也はふと俺を見た。
「今度は俺がその番号を背負って活躍してやるからな」
今に見とけよと付け足して言うと、弘也は走り勢い良く肩に腕を回してきた。
「何言ってんだよ。そう簡単に6番を渡すと思ってんのか?
次も絶対勝ってやるからな」