背番号6、最後の青春



大きくため息をついてから、荷物を持って部室の方に向かう。

2年生の部室にはもう何人もいて、くだならいことを楽しそうに話していた。

3年生の部室は隣だが、いつものように楽しそうな会話がこちらまで聞こえてくる。

1年生はいない。部室がないため、教室などで他の部の人と着替えている。


部室に入ると、俺の後ろにある人がいないためかみんなが首を傾げた。

驚くほどに息ぴったり、さすが。

そう感心しながら、構わず入りいつものところに荷物を置く。

「あれ?弘也、また休み?」

俊太がソックスを履きながらそんなことを問いかけてくる。

それに俺が黙って頷くと、「珍しいな」と言って自分の準備に戻った。

狭い部室は独特の臭いがする。砂とか汗とか消臭剤とか、そういうものの臭いが混じっている。

初めは臭いとか思ったけど、慣れたものだ。今では居心地のいいものに変わっていた。

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