背番号6、最後の青春



着替えて準備をして、それから練習が始まる前に陸空先輩のところに向かう。

陸空先輩はちょうど外で他の先輩と話していた。

「陸空先輩、今日も弘也休むそうです」

そう伝えると、陸空先輩は驚いた顔をして、俊太と同じように「珍しいな」と呟いた。

「弘也って昨日も休んでなかったっけ?なんかあったの?」

心配そうな顔をしながら俺に問いかける陸空先輩に近付いて、

「昨日は…、珍しく家の用事があったそうです。今日は眼科だそうです」

陸空先輩にしか聞こえない声でそう言った。

…弘也は、弱いところを人に見られるのを嫌う奴だ。

試合に負けて泣くのだって、みんながいなくなってから俺の隣で泣く。

きっと、必要以上に足を痛めたことを知られたくないはずだ。

キャプテンの陸空先輩くらいには本当のことを言うべきだろうが、なんだか気が引けた。

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