背番号6、最後の青春
菜乃ちゃんがいなくなった分をつめて俺のすぐ隣に立つ陸空先輩。
今言うことじゃないのは分かっているが、やはり背が低い。
陸空先輩にそんなことを言ったらきっと、6㎝くらいの差でと言うだろう。
高いものからしてみれば、目の高さが全然違うものだ。
「それで、何か悩み事?全然練習に集中できてなかったみたいだけど」
何度目かになるその問いかけに、あははと苦笑いをした。
…こう、なんでみんなして俺の心配ばかりしてくれるのだろうか。
…どうしようもなく泣きたくなった思いが再びこみ上げてくるようだ。
悔しかったのだ。親友なのに、正直に話してくれないことが。
隠さず嘘をつかず話してくれなかったことが。
俺なら、いくらでも相談に乗るのに。
きっと、誰かに話せばもっと気持ちが楽になるはずなのに。