背番号6、最後の青春
なんだろうと思い首を傾げる。
「待ってやれよ。いつかはきっと本当のことを話してくれるだろうからさ。
親友、だろ?
まあ、全く聞かないと向こうが話しにくくなって、教えてくれなくなるかもしれないけど」
正門を照らす光が、陸空先輩の頬を照らして笑顔を輝かせる。
…さすがキャプテンだ。確かにそのとおりだ。
いくら親友だからって、何でもかんでも話せるものでもないものだ。
誰にも言いたくないことだってあるはずだ。親友にも、言えないことが。
やっぱり、話してくれないのは悲しいけれど、話したくないことを無理やり問い詰めるのは良くない。
「そうですね。明日、少しだけ聞いてみようと思います」
笑って返すと、陸空先輩はさらにキラキラとした笑みを浮かべた。
陸空先輩は自転車通学らしく、駐輪場の方に向かっていくのを見送ったあと、俺は家まで歩いて帰った。