背番号6、最後の青春



弘也は清々しい笑顔を浮かべると、「おう!」と元気よく返事をして、それから部室の外に出て行った。

…また、弘也が嘘を吐いた。

誰にも分からないように、でも確実に痛そうに足を引きずっていた。

俺にはそんな嘘、意味がないのに。きっと弘也だってそのことを、分かっているはずなのに。

…でも、問い詰めたりはしなかった。陸空先輩にも言われたし。

俺も準備をしてから部室を出て、鳥かごをやっている弘也たちのところに向かった。

裕翔を誘って2対1をやっていたらしく、近くに来た俺にすぐパスをしてきた。

いきなりだったのでとりあえずパスし返しておいた。

そのすぐあとだった。

「しゅうごーう!」

いつもは練習前の挨拶のために並ぶように声をかけるのに、今日は違った。

集合と声をかけた陸空先輩の隣には、いくらかの紙を挟んだバインダーを片手に部活の顧問の愉多先生が立っていた。

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