背番号6、最後の青春
何か知っているのか、陸空先輩の元に駆け寄って行く最中、弘也がどこか悲しそうな顔をしていた。
集合をして、みんなが集まったことを確認した愉多先生は、
「いきなりだけど、報告があるんだ」
そう言って俺たちの方を見てから、紙の方に視線を移した。
それから少しの間、その紙を見ながら険しい顔をしていた。
いつもは気楽でへらっとしている愉多先生が、こんなに険しい顔をするなんて。
良い報告でないことは確かだった。それを悟ったチームの雰囲気が、だんだんと暗くなっていく。
愉多先生が1つ咳払いをした。ちらっと弘也の方を見てみたが、こちらと目を合わせることはなかった。
ポリポリと頭を掻きながら、愉多先生は言いにくそうにしながらもハッキリと言った。
「単刀直入に言うとな、次の練習試合からなんだが、
真矢、お前には6番を、弘也には13番を任せようと思う。
公式戦前の紅白戦はまだやっていないが、とりあえずこの2人の番号だけ変更するから。
2人は練習後に俺のところに来るように、いいな」
そう、ハッキリと言ったんだ。
俺にとって全く良い知らせとは言えない知らせを、サラッと言ったんだ。