背番号6、最後の青春



気付けばそう聞いていた。弘也はこちらを見て驚いていた。

俺なら、もっと素直に喜ぶとでも思っていたのだろうか。

先生は俺の肩に手をおいて微笑むと、

「それは、企業秘密ってやつだ。今月いっぱいはそのままでもいいと思ったんだがな。

まあ、とりあえず気持ちの問題もあるし先に背番号だけでも忘れないうちに、と思ってな。

…真矢ならできるって信じてるから。弘也以上の活躍を期待してるからな」

そう言って、それだけ言い残して何も言わない俺らを残して職員室に帰っていった。


「…そろそろ、帰るか」

何も言わずにユニフォームを見つめている俺に、弘也は恐る恐る声をかけてきた。

俺はそれに軽く頷くと、自分の荷物を持って歩き出した。

その後を追うようにして、弘也が慌てて隣まで走ってくる。

正門を越えて、家までは歩いて20分くらいだ。

弘也とは途中で別れるが、ギリギリまでは一緒の方向のため、かなり長い時間一緒にいる。

何も話さない俺を、一見怒っているようにも見える俺を、弘也はどう思っているのだろうか。

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