背番号6、最後の青春
腕に抱きかかえたユニフォームの袋を、手でギュッと掴む。
いらない。こんなもの、いらない。
愉多先生がどんなに期待してくれても、俺はその期待に応えられる自信はないし応えるつもりもなかった。
紅白戦もしていないのに、いきなり番号を変えられた。
…俺は、自分で分かっているから怒っているんだ。
自分の実力がまだまだ弘也に追いついていないことを、知っているから怒っているのだ。
まだまだ努力の数ですら弘也に追いつけない俺が、6番を背負うことになった理由はだいたいしれていた。
きっと、弘也の足が良くない状態にあったからだろう。
だから、一応俺と弘也の番号を交換しておくのだろう。
きっと、弘也の足が治ったらすぐまた元の番号に戻るのだろう。
元の番号に戻ることになんの不満もない。だけど、6番は背負いたくない。
弘也の“代わり”として、背負いたくなんてなかったんだ。
俺は、実力でも努力でもちゃんと弘也に勝って、それからこの番号を背負いたかった。
こんな形でこの番号を背負うことを、俺が望んでいるわけない…!