背番号6、最後の青春
むしゃくしゃしていた。このユニフォームを、今すぐにでも投げ捨てたくなった。
だから、不意に立ち止まって、そんな俺に合わせて立ち止まる弘也に、
「なあ」
と声をかけた。
そうして、どうしたのと言いたげに首を傾げて俺から視線を外さない弘也の腕に、
6番のユニフォームを、思い切り突き返してやった。
「なんだよ、いきなり。俺に返されても困るんだけど…」
ポリポリと頭を掻きながら、迷惑そうにユニフォームを俺に返そうとする。
それを、何も言わずにグイグイと弘也に押し付けた。
弘也がふと手を止めて、ユニフォームを見て、大きくため息をついてみせた。
「なんなんだよ、お前。嬉しくねえのかよ。さっきから怒ってるみたいだし」
俺の態度に、弘也も怒っているようだった。
むしゃくしゃした気持ちが、弘也にも伝わって伝染してしまったようだ。