背番号6、最後の青春
睨み合う、数秒間。
それがどんなに短くとも、俺らには長く永く感じられたので、実際どれくらい睨み合っていたかは分からない。
だけれど睨み合っているうちに、ふとユニフォームの方に目を向けた俺が、
「嬉しいわけねえだろ。俺が怒ってる理由、弘也なら分かってるだろうが」
そう言ってまた再び、先程よりも強い視線で弘也を睨み付けていたことは分かった。
喧嘩をしたいわけじやないのに、どうしても喧嘩腰になってしまうやり取り。
お互いに苛立ってしまっているせいだとわかってはいるが、やめる気はない。
「分かるけどよ、押し返すのはないんじゃねえの?」
弘也の手が、ユニフォームの袋をギュッと掴んでクシャッと音を立てる。
確かに、いきなり押し返すなんて非常識だし、弘也に失礼だということも分かってる。
頭では、分かっているのだけれど。
「だって、いらねえんだもん。あんなにあっさり渡されて、嬉しいどころかムカつくんだよ!」
俺は、少しばかり頭に血が上っていたのかもしれない。