背番号6、最後の青春



公園の中央あたりで立ち止まってから、しばらく弘也は黙ったままユニフォームをみつめていた。

それから何も言わずに、俺に、俺がしたようにユニフォームを押し付け返した。

俺はそれを素直に受け取って、下を向いた。

「…ごめん、言い過ぎた」

ボソッと小さな声で呟くと、俺と目を合わせた弘也が唇で弧を描いた。

「いいよ。俺も、真矢が嬉しくないの知ってて“嬉しくねえのか”なんて聞いて」

申し訳なさそうに眉を下げながらそう言う弘也に、フルフルと首を振った。

だけど、だからといって何も知らないままこの番号を背負うことだけはできなかった。

だから俺は、解決したかと思い俺から背を向けようとする弘也の腕を掴んで、

「足、痛いんだろ。本当は筋肉疲労じゃないんだろ。嘘ばかり、つくなよ」

弘也にハッキリとそう尋ねた。

ジッと目を見て、逃げられないようにする。

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