背番号6、最後の青春



弘也は困ったような笑みを浮かべて、ゆっくりと目をそらした。

そうして逃げたそうに弘也の腕を掴んだ俺の手の上に、自分の手を重ねた。

力を入れすぎていたのかもしれないと、離しはしないが力を緩める。

「…それ以外に、背番号が変わる理由、なんかあったか?それだけ知りたいんだ」

お願いだからと付け足して、ジッと弘也を見つめたまま答えを待った。


肌寒く冷たい風は、首や頬を掠めて身震いさせる。

右手で左足にスッと触れた弘也が小さく零した言葉は、ザワザワと騒ぐ公園の木々の中に消えていった。

震えた小さな声は、小さな風の音にかき消されてしまって聞き取れない。

首を傾げて聞き返す俺に、弘也は視線を逸らしたまま、もう一度呟いた。


「足が、痛いからだよ…」

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