背番号6、最後の青春
弘也は優しく、それでも強く左のももをさする。
ギュッと握りしめた拳を埋め込むように、強くさするから、それを止めようと手を出した。
だけど、その手は弘也に振り払われて、苦笑いした弘也が俺と目を合わせた。
「愉多先生が勝手に背番号変えたわけじゃないって、真矢にはバレちゃうから嫌だな。
…練習試合ではできるだけ頑張るけどよ、本戦で足引きずってたら迷惑だろ?
他の人にはまだバレてないけど、真矢にはあっさりバレちゃったし。
だから、真矢に俺の代わりを頼もうと思って。俺の、代理として走ってほしくて」
お願いだと手を合わせて笑いかける弘也の足を見る。
「そんなに、痛いのか?」
聞くまでもないのは分かっていた。弘也が正直に答えないことくらい分かっていた。
だけれど、聞いた。