背番号6、最後の青春
公園から出ようとして、ふと、気が付いた。
…弘也が、涙を流していたことに。
試合に負けた時に泣く弘也はよく見た。逆にそれ以外で泣くことなんてなかなかなかった。
それなのに、そんな弘也が静かに涙を流していたのだ。
驚いて足を止めると、弘也は俺にバレたことに気付いて慌てて涙を拭った。
それを見た俺は笑いながら弘也の頭をポンポンと撫でるようにして叩く。
「…泣いてないからな」
涙の跡を頬に残しながら、そっぽを向いてそう言う弘也に、俺は堪えきれずにクスクスと笑う。
「あー、はいはい」
そう言って弘也を見ると、弘也もむっとしたままこちらを見て目を合わせる。
そうして、意味もなく声を上げて笑った。
もう日も暮れた薄暗い公園のふち、思い切り大声で笑ってやった。
通りかかった近所の人に少し怒られたけれど、それすらもなんだかおかしくて笑った。