背番号6、最後の青春
1.
誰かの小さな変化に気づけるのはとても嬉しいことだと思う。
それが誰にも分からないくらいの変化であって、しかも自分だけが気付けたものならなおさら。
しかしそれは同時に、悲しいことなのかもしれない。
気付いていけないことにも、気付きたくないことにも気付いてしまうから。
「またあの強豪校とかよ?!」
練習試合、相手を教えてあげるなりそう叫ぶ弘也に、俺は思わずため息をついた。
「仕方ねえじゃん。先生同士が仲良いんだから、練習試合も申し込みやすいんだよ」
やれやれ顔でそう言うと、弘也はそうだけどとまだ文句を言っていた。
まあ、言わせておけばいい。
弘也が文句を言うのはいつものことだ。
こうして散々文句をいうわりには、やるときはやってくれる。