背番号6、最後の青春



それから弘也は、もうすぐ目の前に見える学校の方に目を向けてから、こちらを向いた。

「…走りたいから、かな。バレたらサッカーやるの、止められそうじゃん」

だから黙っててとでも、言いたいのだろう。

分かるだろうと首を傾げながら微笑む弘也に、俺は大きくため息をついた。

バレたらサッカーやるの止められるなんて、当たり前のことじゃないか。

筋肉疲労でも、足が痛いのにサッカーをやっていたら、痛みはよくなるどころか酷くなるだろう。

それは困るから、早く復活してほしいから休めと言って部活に来てもやらせてもらえなくなるだろう。

それは仕方ないことだと思うけど、弘也はそれが嫌らしい。

「当たり前のことだとは思うけどな。足が痛いんだったら休んで治せと思うだろ、普通」

苦笑いしながらそう言うと、弘也はそうだけどと呟いた。

…そうだけど、確かにそうなんだけど、と呟いた。

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