背番号6、最後の青春
それも、俺しか気付いてないらしく、周りは少し動きが鈍いくらいにしか感じてないらしい。
休んだから鈍ったのか、みたいな会話がそれを物語っていた。
…気付けよ、馬鹿!
思わず叫びたくなったけれど、一生懸命その言葉を飲み込んだ。
弘也は、2日休んだくらいで体が鈍るようなやつじゃない。
第一昨日も来ていたんだ。昨日のうちにいつものペースを取り戻すだろう。
あいつは、部活が終わったあとも少し練習に残っていったり、家の近くの公園で1時間程度練習したりしてるんだ。
今日できなかったところをもう一度やって技術として定着させるんだと意気込んで。
そういうやつだから、簡単に鈍ってうまく動けませんなんてことないはずなんだ。
だけど、足が痛いことは俺と、それから昨日勢いで話した陸空先輩しか知らない。
足を引きずっているの自体、俺ぐらいしか気付いていない。
陸空先輩は、なんとなく気付いている感じはしてるけれど。