背番号6、最後の青春
俺は、悟った。
弘也がじわじわと、着実に走れなくなっていることに。
終わり際には、思うように動かない足を無理に動かして、ゲームをやっていた。
いかにも自然に振る舞っているから、少し動きが鈍くなっているようにしか見えない。
だけどときおり左のもものあたりを手で軽く抑える弘也の横顔が、苦痛で歪んだ。
やりたい気持ちは分かる。だけど、見ていられなくなっていった。
だから、
「弘也、変わらん?」
そう弘也に声をかけた。
弘也は一瞬だけ嫌そうな顔をしたが、自分の足が動かないこと、自分で分かっていたのだろう。
しぶしぶではあるが、弘也は小さく頷いた。
それから変わるためにビブスを受け取る時、弘也が俺にしか聞こえない声で、
「ごめん、ありがとう」
そう言って笑いかけて、俺の肩をポンポンと叩いた。