背番号6、最後の青春
弘也の代わりにゲームに出て、それから弘也が代わるように言ってくることはなかった。
隣にいる菜乃ちゃんに持ってきてもらったのであろう椅子に座り、菜乃ちゃんと何か話しながら俺に指示を出した。
俺だけじゃない。第三者の目線で、チームのプレイを見て指示を出していた。
そのうちに、練習の時間はあっという間に過ぎてしまった。
気付けばもう日が暮れかけていて、終わりの挨拶の収集がかかる。
椅子を菜乃ちゃんに預けた弘也の隣に並んで、挨拶をする。
まだ足が痛むのだろう。痛そうな顔をする弘也に、すぐに脱いだビブスを預けた。
「ほら、マネと一緒にビブスでもたたんどけって」
そう言って押し付けると、弘也は少し驚いた顔をした後、淡く笑って頷いた。
だけどすぐにハッとして、
「悪い、忘れ物取りに行くのついてきてくれない?」
そう言って俺の手を引いた。