背番号6、最後の青春
教室まで行って忘れ物とやらを取ってきた弘也と並び、階段を降りる。
「真矢、次の練習試合っていつだっけ」
「え、うーん、来週の土曜日じゃなかったっけ。確か花織高校とでしょ」
そんなたわいない会話をしながら階段を降りていく。
一歩一歩ゆっくりと、弘也のペースにあわせて降りていった。
その、途中だった。
多分、階段の端にあるスリップ防止のためのゴムのようなものに引っかかったのだろう。
前に倒れていく弘也の体。足をつこうと前に出された足に力が入らないのか、崩れ落ちていく。
「危なっ」
つぶやいて手を伸ばすけれど、少し出遅れたのか、弘也の腕を掴んでこちらに引き寄せることはできなかった。
弘也の体重で俺も同じように倒れていく。
俺はもう片方の手を差し出して、弘也を守るような姿勢をとった。
そのまま、肩から落ちていく。
弘也は俺の腕が頭を守っていたおかげなのか、外傷はないらしい。
俺は肩を思い切りぶつけてしまったが、まあ大丈夫だろう。