背番号6、最後の青春
ゆっくりと起き上がり、弘也の方を起き上がらせる。
「おい、大丈夫かよ。…お前、そんな足でまだ走れるのかよ」
立とうとする弘也だが、今ので左足にうまく力が入らないらしい。
一生懸命に立ち上がろうとしながら、弘也は小さくフルフルと首を横に振った。
「走りたいんだよ。だから、気にするな。
どうせ、次の練習試合が終わったら、今度は真矢のターンだし。あと1回くらい、走りたいんだよ」
小さな声は震えていた。
痛いのだろう。体が、心が、きっとなによりも痛いのだろう。
泣き出しそうになりながら、必死に訴えかける弘也。
手をかそうとするけれど、なかなかその手掴んでくれなくて、立ち上がれない。
そんな時だった。
「2人とも遅い…、って、どうしたの?!」
花梨が来たようだ。
それに気付いた弘也が、俺の手を掴み慌てて立ち上がった。
痛そうに歪む顔を隠すように、俺は花梨と弘也の間に立って、弘也を立たせた。