背番号6、最後の青春



オロオロしながら弘也に駆け寄り、大丈夫かと声をかける花梨。

パッと弘也と目を合わせてから、そんな花梨に笑いかけた。

「じゃれ合ってたら階段から落ちちゃってさ。先行って、先生に報告しといてくれない?」

そう頼むと、花梨は意気込んでそのまま階段を駆け下りて行った。

それを見送り花梨の足音が消えてから、弘也に肩をかしてゆっくりと歩き始める。

「本当に大丈夫かよ」

そう聞くと、弘也は満面の笑みで、

「いや、さすがに落ちたのは痛かった!」

そう言ってアハハと声を上げて笑った。

足が痛い理由が、どうしても気になってしまった。

だけど、聞かないように聞かないようにと自分に言い聞かせて、「そうかよ」と笑った。


…俺はまだ、本当のことを知らない。


きっと治る、そう信じている。

だけどきっと弘也は強がりだから、たとえば病気だとしたら慰められるのが嫌だから言ってくれないのだろう。

そう、思っていた。

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