背番号6、最後の青春
1.
弘也が辛そうなのは一目瞭然だった。
だけど、一目瞭然、というのは俺だけで、他の人からしたらいつもの弘也だったのかもしれない。
弘也が階段から落ちた翌週には、目に見えて足を引きずる弘也がいた。
階段から落ちて足首を捻ったなんて言い訳をしているが、どうも足首を捻ったようには見えない。
他の人はそうかと言ってそれで済ませているが、俺からすれば嘘がバレるのも時間の問題だ。
だけど、それでも弘也は嘘を通す。捻っただけだと笑う。
「弘也!判断もっと早く!」
練習終わりがけのゲーム。いつもよりも鋭い声が飛び交っている。
「おい、今の取れただろ!すぐ動け!」
先輩たち、ピリピリしているようだ。
陸空先輩から聞いた話、どうやら今日の放課に少し喧嘩みたいなことがあったらしい。
それで、一部の人がピリピリしているそうだ。