背番号6、最後の青春
…ちくしょう、言われなくてもやってやるよ!
心の中で弘也に向かって思い切り叫んでやると、緊張しながらも菜乃ちゃんに向かって手を差し出した。
分かってくれないのか頭の上にはてなマークを浮かべる菜乃ちゃん。
ここは男らしく、ズバッと言わないとと自分に言い聞かせる。
「その、椅子とかは俺らが持ってくから。力仕事は部員に任せてさ、菜乃ちゃんはボールの空気入れてきてくれる?」
簡単には任せてくれないと思い、別の仕事を提案してみると、菜乃ちゃんはニコッと笑いかけてくれた。
「そうですね!じゃあこれ運んだら空気入れてきますね!」
…そうじゃなぁい!!
叫びたい気持ちを必死に抑える。
俺、椅子は俺らが持つって言ったよね?天然ちゃん恐ろしすぎるんだけど!
喉から出てきそうな気持ちを押し殺して飲み込んだ。
…菜乃ちゃんの天然は今に始まったことではない。