背番号6、最後の青春
俺はそれに少し考えてから、周りを見渡してみた。
終わった、というかなんというか。やることがないだけと言えばいいだろうか。
「まあ、俺がやるべきことは終わったんじゃないかな」
そう言って弘也の顔を見ると、ふと弘也の額に何かが貼ってあることに気が付いた。
額に貼ってあるのは、よく熱を出したときに貼るあの冷たいシートらしい。
相変わらず頬がほんのりと赤い。熱中症と聞いたマネたちが、慌てて用意したのだろう。
「…熱中症か?」
俺が首を傾げて尋ねると、弘也はそれ本気で言ってるのかと言わんばかりに睨んできた。
「んなわけねえじゃん。確かにちょっと体温高くなってるけど、熱中症ではねえよ」
ふんっとそっぽを向いて拗ねるように言う弘也に、そうだなと笑いかける。
立ち上がった弘也は少しだけ足元がふらつくらしく、肩を貸してやることにした。
…でもよ、熱中症じゃねえなら、なんでこんなに熱いんだよ。
肩から伝わる弘也の手の温度に、心の中でそうこぼす。