背番号6、最後の青春



陸空先輩が言っていたとおり、弘也の息が上がっている。

といっても、かなり平静を装っているためそんなに分からないが。

だけど、いつもの弘也じゃないことだけは確かだった。

部室に戻って荷物を整えていると、何人かが弘也に大丈夫かと声をかけた。

デリカシーのない奴らだと思うけれど、そもそも俺の前でしかなかなか泣かない弘也が強がりだってこと、知っているのは俺くらいだ。

弘也は問いかけるみんなに、大丈夫だ大丈夫と整わない息で話していた。

周りのみんなはそれで納得していた。息が整ってないことすら、俺にしか分からないのか。

弘也はなかなか部室から出ていこうとしなかった。

「あー、そろそろ行かねえとな」

俺にそう声をかけたのは、ほとんど人がいなくなってからだった。

あと、俺らを抜いたら2,3人しか残っていない。

弘也が準備が遅いのはもとからだけど、他にも準備が遅いやつがいるからここまで遅くなったことはなかなかない。

せいぜい片付けに手間取った挙句に荷物を散乱させたまま練習を行っていた時くらいだ。

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