背番号6、最後の青春



職員室前のミーティングをしているところに行くと、みんなが待ちくたびれた様子で待っていた。

「キャプテンが来ないと先生呼べないだろ!」

そんな先輩の言葉からしてきっと、陸空先輩は自分が行かなければミーティングが始まらないと分かっているから、

弘也が来る前にミーティングが始まらないよう、始めるような空気が流れないように待っててくれたのだろう。

優しい、陸空先輩のことだ。きっと、そうなのだろう。

俊太たちには遅いなと突っ込まれたが、適当な嘘をついて誤魔化しておいた。

帰りも、ある程度人がいなくなるのを待ってからだった。

力のあまり入らない左腕を見られたくないらしく、人がいなくなってから荷物を肩にかけた。

あまり弱いところを人に見られないために、嘘がバレないために。

取り繕って取り繕って、嘘を重ねに重ねたけれども、それもいつかは無意味になるらしい。



「弘也先輩!白状してください!」

金曜日の帰り、正門の目の前で仁王立ちする菜乃ちゃんに捕まってしまった。

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