背番号6、最後の青春



その考えは、なかったといったら嘘になるけど、あるわけでもなかった。

まさか病気かと思ったことはあったが、足が痛くなり走れなくなる病気なんて、あったっけと思ったのだ。

俺にはそんなに知識はないし、携帯で調べてもうまく調べられなかった。


弘也は驚いた顔をしたあと、ポリポリと頭をかきながら困った顔をして、

「うーん、病気…というのかな?本当にただの筋肉疲労だよ」

そう言ってからチラッと俺の方を見た。助けてほしいらしい。

弘也は嘘が苦手だから、嘘をついていることはバレバレだ。

「そうだな。それなのに無理しすぎてるからなかなか治んねえんだよ」

仕方なく、弘也の嘘に合わせてやることにした。

俺の言葉に、菜乃ちゃんは不満げな顔をしながら弘也と俺の顔を交互に見た。

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