背番号6、最後の青春
だけど、本当のことは話してもらえないと分かったのだろう。
「…なんか納得いかないですけど、まあ、多分そうなんですよね」
ムッとしながら肩を落とした菜乃ちゃんに、そういうことだと弘也は笑った。
なんか、嘘をついた罪悪感があるけれど仕方がないよな。
その後、駅の方へと向かう菜乃ちゃんの背中を見送ったあと、弘也と2人で帰った。
帰りは2人きりだから、荷物を持ってやったり肩を貸したりしている。
弘也ははじめはすごく意地を張って、肩は借りれど荷物を持たせてはくれなかった。
だけど、荷物の重さに足が悲鳴を上げることがあるらしく、たまに預けてくれるようにはなった。
「…弘也、明日試合だけど、大丈夫かよ」
菜乃ちゃんとのことがあったせいか、今日は妙に会話の続かない。
だから聞くにも言葉が途切れ途切れになってしまった。
「やれるだけやるよ。きっと大丈夫」
相変わらずお気楽な弘也はそう言って笑う。
俺は…、いつものようには笑えなかった。
ただ、静かにそっかと微笑むばかりだった。