六芒星の記憶
ーーーー10分後
いよいよ演奏がはじまる。
店の周りには続々と町の人々が集まり始めている。
カンカンカン ♪♪♪♪♪〜〜〜
マカオのスティックの合図で始まったピカデリー。
そこにジュリアが登場した。
膝丈の黄緑色の衣装がジュリアが踊るたびに優雅になびいている。
ジュリアは最初の緊張があったことなど忘れ、奏でられている楽しい音楽に身を任せる。
そんな彼女を見ているお客はあまりの美しさに言葉を失い、
ーーー天使…
と誰もが思った。
時間が過ぎていくたびにそのお客はどんどんと数が増えていく。
〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪
音楽が終わり、ジュリアの最後のポーズも決まった瞬間に大きな拍手が生まれ、小さな町の小さな店は今までにないほど盛り上がっていた。
その中ジュリアはお客にしっかりとお辞儀をして笑顔で手を振る。
お客の中からは『ジュリアちゃーん』と呼ぶ声も聞こえる。
ーーーーわたしの名前、知ってくれてる人がいるんだ!
ジュリアは、たくさんのお客が笑顔になっているのを見て幸せな気分になった。