六芒星の記憶



いざ、踊り始めると音楽と自分自身が調和するような感覚がジュリアの中に生まれていた。


ーーなんだろう、この感覚は…


そんなジュリアを見た観客は歓声をさらにあげ、小さな国の小さな街の一角は今までにないくらい盛り上がった。



音楽が終わるとジュリアに大きな拍手と歓声が送られ、記憶を失い不安しかなかったジュリアの心に少し希望のような暖かい感情が生まれていた。




時間がたち、賑やかだったその場所も徐々に元の状態になっていく。

「お嬢ちゃん!凄かったな!!」


さっきジュリアを誘ったあのおじいさんがこちらにやってきた。


「ありがとうございます!」


「踊り習ってたのかい?」


「いや、そんなことは…」

ないと思われるのだけれど…


「どうだい?うちの店で働いてみないか??」


これはジュリアにとって嬉しい言葉だった。


「っはい!お願いします!!」


「じゃあ店の中ではなそうかの」


そういっておじいさんは店の扉を開いた。


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