朝顔 -生まれ変わっても君を-
「あ、あの!降ろしてください!」


私がそう言うと、綺麗な人は、立ち止まって溜め息をつく。


「全くお前は……。置いて行くなと言ったり、ここで降ろせと言ったり……」

「思っただけで言ってないです」


口を尖らせながらそう言うものの、綺麗な人は、その言葉を無視。


「一体、私はどうすればいいんだ」


そう言われた私は


「連れて行ってください。お願いします」


と言うしか無かったのだった。


小さい頃から、"知らない人には付いて行っちゃダメ!"と、母さんに言われ続けてきた。

自分から、連れて行ってください宣言をしてしまったが……。


しかし、この綺麗な人は、知らない人のように感じないのだ。

むしろ、とても懐かしい感じがする。


そこまで考えた時、私はハッとした。


「名前……」

「なんだ。なにか言ったか?」


家の中に入り、降ろしてもらった私は、綺麗な人に、こう尋ねた。


「あなたの名前。私、聞いてません」
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