朝顔 -生まれ変わっても君を-
だから私は、それについては何も触れずに、話を戻すことにした。


「じゃあ、私は、あなたのこと、どう呼べばいいんですか?」


私がそう言うと、綺麗な人は、「自分で考えて、好きなように呼んでくれ」と言った。


私は考えた。

というか、私がずっと思っていたこと。

それは、この人は綺麗だ、ということ。


どうして、男の人を綺麗だと思ったのか。

それは、雰囲気が落ち着いていて、佇まいなどが美しい、というのは、間違いなくある。


だけど、それだけじゃない。


この人が綺麗だと思った理由は、この真っ直ぐでとても澄んだ瞳だ。


吸い込まれそうなほど深い色をした瞳。

なんでも見透かされているような、この真っ直ぐな瞳……。


これがあったから、私はこの人が綺麗だと思ったのだ。


「……真澄」

「なんだ?」


私は、もう一度、はっきりした声で言う。


「真澄さん」


私がそう言うと、目の前の彼は目を見開いた。


「えと……、ダメでしたか?」


確かに、ちょっと女っぽいかもしれない……。

そう思った私は、考え直そうとすると、彼は言った。


「いや、少し驚いただけだ、それでいい。あと、さんは付けるな」
< 18 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop