朝顔 -生まれ変わっても君を-
頭の中で、鬼を想像した私は、コクコクと首を縦に振った。


「まぁ、お前の想像している鬼が全てではないだろうがな」


そう、少し呆れられたように言われた私は、ムッとした。


……っていうか、なんで分かっちゃってるの。


「じゃあ、私のことを食べようとしたのは、鬼の仲間なんですか?」


私がそう聞くと、真澄はゆるゆると首を降った。


「あれは鬼ではないだろう。見たことのないものだったから、恐らく最近生まれたものだろうな」

「妖って、生まれるんですか!?っていうか、最近!?」


驚いて、つい大きな声を出してしまった私は、真澄の表情から感じ取れる"うるさい"に、しまった、と口を押さえた。

真澄は溜め息を吐きつつ、一つ一つ説明してくれる。


「妖なんて、昔からずっと、人間の側に居るものだ。いつだって、人間と妖は紙一重の生活をしていた。いや、今でもしているんだ。しかし、今の時代は、妖には生きにくい。昔生きていたものが消えてゆき、今の時代に適応された妖が生まれてくる。何事に関しても、時代の流れ、時の流れには逆らえない」


そう言った真澄は、軽く目を伏せた。

しかし、そう見えたのは一瞬で、次の時には、さっきと何も変わらない表情に戻っていた。


「だから、何が消え、何が生まれても不思議じゃないのが今の世だ。当然、危険なものも、そうじゃないものも生まれるだろうな」
< 20 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop