朝顔 -生まれ変わっても君を-
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「うわー、霧濃いな……。ってか、寒いし」
長袖を羽織ってきて正解だったな……。
私は、腕を擦りながら、ゆっくりと歩く。
コテージの周りだけを歩くつもりだったが、霧が濃すぎて、今自分が、どこを歩いているかも……。
「これ……、私……、ヤバイかも……」
旅行に来て、山で遭難とか……。
……笑えないんだけど。
そろそろ、引き返したほうが賢いかも。
いや、そもそも、どこへと向かって帰ればいいかも、いまいち分からないんだけど……。
そんなことを思いながら、とりあえず足を進めていると、霧の中に、微かに人影が見えたような気がした。
「きっ、気のせいだよね。人影なんて……、い、今の時間に、外に出てる人なんていないし……っ」
自分自身、外に出ているにも関わらず、意味のわからない事をボソボソと呟きながら、私は少し立ち止まる。
目を凝らしてよく見ると、気のせいだとは思いたいが、人影はそこにある。
うわ〜、どうしようかな……。
何もないような顔をして素通りか、それとも、来た道を戻るか……。
その答えはズバリ、来た道を戻る。