私はそれを見るたびに貴方を思い出すでしょう

「いいからさっさと正体現せ。
こっちもそんなに暇じゃないんだ。」

緑が少しイライラした様子で言った。

「まぁまぁ、そんなに怒らないでよぅ。
どーせ、わかってるんでしょ?正体なんて。」

私の体で誰かが言った。

ニヤニヤと笑っているのが分かる。

緑は私を見て、顔をしかめた。

「でもさぁ。」

私の中の誰かが言った。

「可哀想だよねぇ〜、透愛ちゃんも。」

天を仰ぎながら、ふと呟くように言う。

「急に知らないところで、知らない男と一緒に過ごさなきゃいけないなんて。
僕なら絶対ごめんだ。」

え…じゃあ、私は一体…

誰なの?

その言葉を聞いた緑は、ハッとした顔をして

「…っ!まさか、お前また!」

「おぉっ!鋭いねぇ〜。
そう、僕が連れてきたんだよ。この前みたいにね。」
< 20 / 38 >

この作品をシェア

pagetop