連なる恋心
⑦レンが優雅な午後を満喫する

「行ってきます!」
挨拶もそこそこに、笑顔で琳夏は家を飛び出した。窓から、走る琳夏を覗く。速っ。気のせいか?
「レン」
「母さんか。何だ」
「あの...大丈夫?琳夏ちゃんと上手くやれてる...?」
「ああ、今のところ問題は無いが、アイツは色々ガサツだな。部屋を訪ねると飲み物はかたくなに出さんし、部屋着はクローゼットの扉に挟まってるしな。俺の起こし方もなってねえ。俺、起き方にはこだわりがあるの、母さんも知ってるだろ。1番嫌な起こし方をしてくんだよな。長刀だよ、長刀。おなかをバシバシ叩いてきやがる。そこら辺はどうにかしてもらいた────」
「時間ねえの、もういいだろ。上手くいってるみたいで良かったわ♡じゃあ母さんも仕事行ってくるからね♡」
若干ヤンキー口調が聞こえた気がするが、気のせいだろう。また、それを誤魔化すための♡マークも聞こえた気がするが気のせいだろう。
母さんは微笑を浮かべてドアをがちゃんと閉めた。地球を蹴り飛ばすみたいなハイヒールの音が遠ざかっていった。
暇だ。とことん暇だ。今から何をするべきだろうか。
考えて考えて思いついたのは、以下の3つ。

・母さんの負担を減らすために家事を手伝っておく。

・勉強。

・新しい学校の偵察。

3つ目が一番楽しそうだ。
俺はさっそくチャリの鍵を取った。
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