風便り〜大切なあなたへ〜
そこに座るのは、ちょっと恥ずかしいよ・・。
私は戸惑いながら、守屋くんに聞いた。
「・・と、隣に座ってもいい・・?」
「ダメだ、いいから早く座れ」
そう言うと守屋くんは、私の手を引いて、無理やりそこに座らせた。
そのまま守屋くんは、後ろから私を、ぎゅっと抱きしめた。
・・どうしよう。
恥ずかしいよ・・。
心臓が、壊れちゃうよ・・。
私の心臓は、さっきよりも鼓動が速くなって、胸が苦しくなった。
「安心しろ、今はまだ何もしねえよ」
「え?」
「このまま俺の話を聞いてくれ」
守屋くんは、私の耳元で囁きながら話し出した。
私は守屋くんが話すたび、守屋くんの息が耳にかかって、こそばかった・・。
「真子・・お前、もっと自分を大切にしろよ。俺のために、お前が傷つくところなんて見たくねえんだよ」
「・・・」
守屋くん・・。
私も同じ気持ちだよ・・?
守屋くんの傷つくところなんて見たくない・・。
「・・・お前と初めて会った時、お前、俺のために泣いてくれたよな?あの時から、俺、お前のことが好きだった」
「え・・?」
「俺が傷ついた顔してるって、辛そうな顔してるって」
「・・うん」
あの時の守屋くん、本当に辛そうに見えたよ・・。
何かに傷ついているみたいで、私まで見てて苦しくなった・・。
「・・いや・・好きだって自覚したのはあの時だったけど、その前から、俺はお前に惹かれてた」
「え?」
「・・あの頃の俺、かなり荒れてて、自分がわからなくなってたんだよ」
「・・・」
「そんな時、誰にも気づいてもらえないこいつはクソだって思って、踏んづけたタンポポに、お前が頑張って生きてるんだねって話しかけてるのを聞いて、俺は自分に言われてるみてえだって思った」
「・・・」
「そしたら俺、無意識にお前に話しかけてた」
そう言って守屋くんは、私の耳元で小さく笑った。
守屋くん・・。