風便り〜大切なあなたへ〜
「俺、お前に聞いたよな?こいつ、頑張って生きてるように思うか?って」
「うん・・」
「そしたらお前、なんて言ったか覚えてるか?」
「うん・・頑張って生きてるって、何度傷ついたって、ちゃんと生きてるって、そこに存在してるって、誰かがちゃんと見てくれてるって・・」
守屋くんと話したことは、全部覚えてるよ・・。
絶対忘れたりしない・・。
忘れられないよ・・。
守屋くんは、私の言葉を聞いて、またぎゅっと抱きしめてくれた。
「・・覚えててくれて、嬉しい」
守屋くんは優しい声で、そう囁いた。
守屋くん・・。
そんな甘い声で囁かれたら、私・・。
私はぎゅっと目を閉じた。
「あの言葉で、俺は救われたんだ」
「え・・?」
私はぎゅっと閉じていた目を開けて、守屋くんの方に顔を向けた。
「こっち見るんじゃねえよ・・」
そう言って守屋くんは、私の頭を優しく掴んで、正面に向かせた。
一瞬だったけど、ちらっと見えた守屋くんの顔は、赤く染まっていて、瞳が少し潤んでいるように見えた・・。
「いいか、こっち見んなよ・・?」
「・・うん・・」
そう言うと、守屋くんはまた私を抱きしめてくれた。
守屋くんは一息入れると、また話し出した。
「そのあと、お前が俺の傷に触れたから、俺はお前を押し倒した」
「・・・」
「きっとこいつも綺麗事言ってるだけで、こんなことされたら、こいつも軽蔑したような目で俺を見るんだろって・・自分で自分の首を絞めてた」
「・・大和・・」
だから守屋くん、あの時、余計に傷ついたような顔してたんだね・・。
辛そうだったんだね・・。
「だけど、お前は違った。俺のために泣いてくれて、こんなやつ初めてだって思った」
「・・・」
「あの時から、お前は、俺にとって、すげえ大切な存在になったんだよ」
「大和・・」
そう言うと守屋くんは、私の耳に優しいキスを落とした。