風便り〜大切なあなたへ〜
あれから私は、守屋くんに包まれて、安心して眠ってしまったみたいで、目を覚ますと、外は夕焼けに染まっていた。
「起きたか?」
「あ・・ごめん、私・・」
隣では守屋くんが、さっきと同じように私を抱きしめてくれていた。
「お前の寝顔、可愛かったぞ」
「えっ!」
私は守屋くんの言葉にびっくりして、体を勢いよく起こした。
それから、急に恥ずかしくなって、私は手で顔を覆った。
守屋くんに、寝顔見られた・・?
もしかして、ずっと、見てたのかな・・?
「隠すなよ」
そう言って、守屋くんは体を起こして、私の顔から手を退けると、優しく微笑んだ。
「顔、真っ赤」
「・・・」
私はまた恥ずかしくなって、俯いた。
・・・あれ?
首元を見ると、見覚えのないネックレスが光っていた。
私は不思議に思って、守屋くんを見た。
「大和・・これ・・?」
「言っただろ、プレゼント」
「え・・?」
「よく見てみろよ」
私は守屋くんに言われ、ネックレスを手に取って、先につけられている物を見た。
さっきは気づかなかったけど、これ指輪だ・・。
とてもシンプルなデザインで、細めの透明な指輪に、黄色い線が入っていた。
「指輪・・」
「もっとよく見てみろよ」
「え?」
もっとよく見て見ると、黄色い線だと思ったのはタンポポの花びらだった。
「あ・・これ・・」
「あの時のタンポポの花びら。ちなみに、俺とお揃いだから」
そう言って守屋くんは、携帯を取り出して、前に遊園地で買ったお揃いのストラップに、指輪を通してつけていた。
私は胸が熱くなって、涙がこみ上げてきた。
「泣くなよ」
守屋くんは優しい笑顔でそう言った。
「だって・・嬉しくて・・っ」
私がそう言うと、守屋くんは私を抱き寄せて、優しく頭を撫でてくれた。
もう捨てられたと思っていた、思い出のタンポポが、こんなに素敵なことになってるなんて・・。
嬉しくて、涙が止まらないよ・・。