風便り〜大切なあなたへ〜
あれから私は、なかなか涙が止まらなかった。
守屋くんは、ずっと私を抱きしめてくれて、頭を優しく撫でてくれた。
涙も枯れて、落ち着いてきた頃、守屋くんは私に服を着るように言った。
・・そう言えば、裸だった。
私は恥ずかしくて、急いで制服を着た。
「送ってく」
「うん、ありがとう・・」
玄関を出ると、夕日が綺麗だった。
「大和の家からは、夕日がよく見えるね」
「そうか?」
「うん、私の家は他の家が邪魔して、沈むとこなんて、全然見えないよ・・」
私がそう言うと、守屋くんは私の手を優しく握った。
「じゃあ、俺たちの家を立てる時は、夕日の綺麗な場所にしような」
「・・うん」
守屋くんの何気ない言葉が嬉しくて、私はまた、胸が熱くなった。
気がついたら、自然と涙が頬を伝っていた。
そんな私を見て、守屋くんは小さく笑った。
「泣き虫だな」
「うん・・私、泣き虫だね」
そう言って、私も泣きながら小さく笑った。
だって、嬉しいんだよ・・。
守屋くんが、私との未来のことを話してくれるのが・・。
本当にそうなったら、嬉しいな・・。
「大和」
「なんだよ?」
「ありがとう・・私、早く大和と結婚したい」
そう言って、私は泣きながら、笑顔で守屋くんを見上げた。
「・・前にも言ったけど、したいんじゃねえ、するんだよ」
そう守屋くんはぶっきら棒に言った。
守屋くんのこの話し方、久しぶりに聞いた気がする・・。
私、守屋くんのぶっきら棒な喋り方、すごく好きだよ。
「うん、そうだね!」
「元気だな」
そう言って守屋くんは笑った。
「嬉しいんだよ、大和が私との未来のこと、話してくれるのがね!」
「・・・」
そう言って私は守屋くんの手をぎゅっと握った。
だけど、守屋くんからは何も返事が返ってこなかった。
私は不思議に思って守屋くんを見ると、守屋くんの顔は夕焼けに染まっていた。
そんな守屋くんを見て、私の顔も夕焼けに染まった。
「・・真子」
「ん?」
「・・いや、なんでもねえ」
そう言って守屋くんは頭を小さくかいた。
私は気になって、守屋くんの顔を覗き込んだ。