風便り〜大切なあなたへ〜
見とく・・?
そんなに食べてる所見られると、私、恥ずかしいよ・・。
私は恥ずかしくなって、少し俯きながらアイスを食べた。
「真子、下向くな。俺を見て食えよ」
「え?な、なんで?」
私は大和を見上げた。
「・・お前のアイス食ってる顔がエロいから」
「・・・」
私は恥ずかしくなって、勢いよく下を向いた。
やだ・・大和、やめてよ・・。
よくそんな恥ずかしいこと平気で言えるね・・。
「真子」
「・・・」
「まーこ」
「・・・」
私は恥ずかしくて、大和に呼ばれても、顔をあげられなかった・・。
大和は私の頭に手をおいて、優しく撫でてくれた。
「真子、悪かった、冗談だよ」
「・・本当に?」
私はゆっくりと顔を上げた。
私が大和を見ると、大和は優しく微笑んでくれた。
「ああ、悪かった。もう言わねえよ」
「大和・・」
私は大和の、この顔に弱い・・。
どんなことでも、大抵のことはこの顔で許してしまう・・。
「あー・・でも、俺のも食ってほしい」
「え?・・大和、もうアイス食べちゃったでしょ?」
「・・おう」
そうぶっきら棒に言って大和は、小さく頭をかいた。
私は大和が何を言いたいのかわからず、小さく首を傾げた。
「・・可愛い」
大和はボソッと呟いて、そっと私に顔を近づけた。
「え・・?」
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れて、それはすぐに離れていった。
「・・・」
「甘いな」
そう言って大和は、自分の口をぺろっと舐めた。
私はまた恥ずかしくなって、ぎゅっと目を閉じた。
「こら、目閉じて歩くなよ。危ねえだろ」
「あ・・うん、ごめん」
私が謝ると、大和は私の手ぎゅっと握ってくれた。
春は温かくて気持ちのよかった手が、季節が変って、少し熱く感じた。
だけど、大和から伝わってくる温もりは何も変わらなかった。